前回の記事では白熱電球の交換についてまとめてみました。
しかし、環境問題への対策として照明もより省エネでエコなLED電球への移行が推奨されているようです。
そこで今回は白熱電球から電球型蛍光灯やLED照明へと電球の種類を取り替えるときの注意点やメリット・デメリットについてまとめてみます。
電球型蛍光灯、LED電球とは?
それでは電球型蛍光灯とLED電球それぞれの特徴を見ていきたいと思います。
電球型蛍光灯の特徴
普通蛍光灯と言えば棒状の形を想像すると思いますが、白熱電球のソケットに差し込んで使えるようにした蛍光灯を電球型蛍光灯と言います。
白熱電球より長寿命・省エネで、LEDよりも安価なためこれまで割とよく使われていました。しかし、LEDが改良されて性能が向上したこと、安価になりつつあること、環境負荷の点でも優れていることなどから廃れる方向になってきます。
メリット
- 白熱電球に比べて消費電力が少ない(同じ明るさの白熱電球と比較し、1/5程度の電気代)。
- 寿命が長い。
- 白熱電球は急激に寿命を迎えるが、蛍光灯はチラつきなどの予兆が現れることが多く、切れるタイミングがわかる。
デメリット
- 白熱電球に比べて高価。
- 点灯するのに時間がかかる。
- 点灯してから明るくなるまでに時間を要する(気温が低いほど時間を要する)。
- 点滅を繰り返すと寿命が短くなる。
- 環境負荷物質(水銀)が含まれている。
- 断熱材施工器具や密閉型器具に対応してない商品を使用するとインバータ回路が熱でやられ、寿命が短くなることがある。
電球式蛍光灯はLED電球に次いで寿命が長く、省エネであり、価格も安い電球です。
ただし、点灯または点灯してから明るくなるのに時間がかかる、寒いと所定の明るさが発揮できないといった弱点もあります。
また、短時間の入り切りで寿命が縮むためトイレなどには向きません。
LEDが出始めた頃までは、LEDは価格が高く、狭い範囲しか照らせなかったので電球式蛍光灯の選択も有でした。
しかし、LEDの改良が進み蛍光灯並みの光の広がりを持ち、価格も安価になってきた今では、電球式蛍光灯を選ぶ必要はないかもしれません。
LED電球の特徴
LEDとは『Light Emitting Diode』の略称で発光ダイオード(光る半導体)のことです。
半導体は温度によって抵抗率が変化する特徴(温度が低いと電気をほとんど通さず、温度が上がると電気が通りやすくなる)を持ち長寿命。
- 寿命が長い(白熱電球の約40倍)
- 温度に関係なく瞬時に点灯する。
- 点灯、消灯が寿命に与える影響は少ないため、廊下やトイレなどに適している。
- 環境負荷が少ない(環境負荷物質の水銀などを含まない)
- 紫外線や赤外線をあまり含まない
- 消費電力量が少ない(同じ明るさの白熱電球と比較し、1/8程度の電気代)
- LEDの光は指向性が高く、ペンダントの上部などが暗くなったりする※近年は全配光型(配光角180°以上の商品)もある
- 推奨温度の範囲内なら低いところでも可能(低温・防水仕様ではないため、結露が起こる場所には向かない)
- 屋外で使用できないものがある。
- 白熱電球よりも重い(電球を複数付ける照明では総重量に注意が必要)
- トランスなどのうなり音が聞こえることがある。(特に問題はない)
- テレビ、ラジオの近くで使用するとノイズが入ることがある(点灯回路から発生される微弱な電波によるもので、気になるときは照明器具と1m以上離して使用する)
- 断熱材施工器具や密閉型器具に対応してない商品を使用すると発光効率が低下し、本来の明るさが出なかったり、寿命が大幅に短くなることがある。
LED電球は年々改良が進み、あらゆる照明器具に対応したり価格も安くなりつつあります。
経済面・環境面で優れているので、借家で短期間しか使わないので購入費用をかけたくない、光が好みじゃないなどの理由がなければメリットが大きいです。
ただし、取り付ける照明器具に適した電球を選ぶ必要があるので、購入前にしっかりと確認が必要です。
取り替えるときの注意点
電球の種類を変えるときは、適合したものを選ばなければ使用できなかったり火災の原因となることもあります。取替に当たっては、照明器具と電球について次のことを確認してみましょう。
照明器具の仕様について
白熱電球から電球型蛍光灯やLED電球に取り換えるときは、まず取り付ける照明器具の仕様を確認しなければなりません。次に当てはまるものの場合、対応した商品を選ばなければ性能を発揮できなかったり、故障・短寿命の原因になります。
①断熱材施工器具
断熱材施工器具とは、照明器具の背面に断熱材が施工された照明器具になります。熱が逃げにくい構造であるため、発熱を抑えた断熱材施工器具対応の電球を取り付ける必要があります。
断熱材施工器具かどうかは、照明器具の表示を確認すると分かります。
SGI、SG、SB(通称Sマーク)のマークが付いていれば断熱材施工器具になります。
図 Sマーク
②密閉型器具
密閉型器具とは、照明器具がカバーで覆われて密閉されているもののことでお風呂場などによく使われています。
電球型蛍光灯もLEDも白熱電球ほどではないものの、点灯している間に発熱があります。この熱の影響で電球の寿命が縮んだり、トラブルが発生したりします。
密閉型器具対応の電球を使用するようにしましょう。
③調光式
調光式とは、電源のON・OFFだけでなく光の強さ(明暗)を調整できる照明器具のことです。
調光機能付きの場合は、リモコンやスイッチに光の強さを調整するつまみやボタンが付いています。
調光機能のついた照明器具には、調光器対応の蛍光灯・LED電球しか使用できません(調光器具の出力100%で固定しても使用不可)。
調光器対応の電球であれば、白熱電球・LED照明どちらの調光式照明器具(位相制御方式)にも対応しています。ただし、センサー付きの自動点灯器具と組み合わせることはできません。
④センサー機能付
人感センサーや明るさセンサーなどの自動点灯器具や遅れスイッチが付いた照明器具の場合、調光機能が付いていなければ使用可能です。
ただし、取り付ける蛍光灯・LEDが調光器対応のものでなければ白熱電球用の自動点灯器具には使用できません。
また、もし調光機能とセンサー機能の両方を持つ照明器具の場合、点灯しない、または調光できない可能性があります。
⑤屋外用器具
屋外では気温や湿度の影響で結露などが発生するため、防湿・防滴の屋外用の電球を使用する必要があります。
屋外用と記載のある電球を選ぶようにしましょう。
⑥水滴がかかる場所や湿度が高い場所
お風呂場などLEDが苦手とする湿度が高い場所でも、照明器具が密閉型で密閉型器具対応のLED照明と組合わせれば使用できることもあります。
ほこりや水が入りにくい防滴性能を持った電球もあるため、使用環境によってはそちらを使うとよいでしょう。
交換する電球の仕様
次は取り付ける電球側の仕様を確認しましょう。
① 電球の種類
取り付ける照明器具に入るサイズの電球を選ぶ必要があります。
電球の形や光の広がり方などが違うので、シーンに合わせて種類を決めるとよいでしょう。電球の形はパッケージに描かれているほか、型番からも読み取ることができます。
電球型蛍光灯(EF)
A形:一般電球
G形:ボール電球
D型:グローブレス(カバーがないタイプ)
LED電球(LD)
A形:一般電球・小型電球タイプ
C形:シャンデリア電球タイプ
G形:ボール電球
R形:レフ電球、ハロゲン電球
T形:小丸電球、ナツメ電球タイプ
② 口金
照明器具のソケットに差し込む部分のことを口金(くちがね)と言います。
電球の箱にE26やE17などと表記され、E26の場合は口金の直径が26mmという意味です。
現在使っている電球の口金サイズを知りたいときは、電球表面に記載されているか、定規で測ることで簡単に調べることができます。
③ 消費電力
消費電力はWという単位で表されています。
取り付ける照明器具の定格消費電力以下の電球を選ぶ必要があります。
電球型蛍光灯やLED電球は消費電力が小さいため、定格消費電力相当の電球を付けると白熱電球を付けていたときに比べかなり明るくなります。
もし同じくらいの明るさの電球に変えたいなら、次の明るさの性能表示を比べて選ぶと明るさはそのままに省エネ効果の高い電球を選ぶことができます。
④ 明るさ
照明の明るさは2種類の表現で記載されています。
一つは明るさ(全光束)の単位ルーメン(lm)で表示されます。
もう一つは、白熱電球の明るさを基準にした『W形(ワットがた)』という表現です。
40Wの一般白熱電球の明るさは485lmなので、明るさが500lmのLEDの場合40W形相当と記載されています。
もしご家庭の照明器具の定格消費電力が60Wであれば、明るさが810~1,160lmのLED電球を選べば明るさはそのままに、消費電力もかなり低いものになるでしょう。
ワット形当たりの明るさ(ルーメン)は以下の表のとおりです。
■一般照明用電球
区 分 | 定格初光束(lm) |
---|---|
電球 20形相当 | 170 |
電球 30形相当 | 325 |
電球 40形相当 | 485 |
(電球 50形相当) | 640 |
電球 60形相当 | 810 |
(電球 80形相当) | 1160 |
電球100形相当 | 1520 |
(電球150形相当) | 2400 |
(電球200形相当) | 3330 |
■小型一般照明用電球
区 分 | 定格初光束(lm) |
---|---|
電球 25形相当 | 230 |
電球 40形相当 | 440 |
電球 50形相当 | 600 |
電球 60形相当 | 760 |
電球 75形相当 | 1000 |
電球100形相当 | 1430 |
■ボール電球
区 分 | 定格初光束(lm) |
---|---|
電球 25形相当 | 180 |
電球 40形相当 | 400 |
電球 60形相当 | 700 |
電球100形相当 | 1340 |
⑤ 配光
配光とは、光源(照明器具)からどの方向(角度)にどのぐらいの光度(光の強さ)で光を発しているかを示したもので、絞りが付いた懐中電灯を想像すると良いと思います。
配光が狭いと照らせる範囲は狭く、遠くまで照らせる強い光になります。
配光が広いと照らせる範囲は広いかわり、あまり遠くまで光が届かなくなります。
LEDが出始めたときのものは配光が狭く、部屋全体を照らすのには向かずスポット的な使われ方をされていましたが、最近の改良されたLEDは白熱電球や電球型蛍光灯に並ぶほど配光が広いものも売られています。
電球ごとのおおよその配光角度は以下のとおりです。
- 一般白熱電球・・・・・約300度
- 電球型蛍光灯・・・・・約260度
- 従来形のLED電球・・・約120度
- 近年のLED電球・・・・約260度
LEDでは以下のような記号で示されています。
記号 | 配光形 | 配光角度 |
---|---|---|
G | 全般配光形 | 180度以上 |
H | 準全般配光形 | 90度以上180度未満 |
W | 広角配光形 | 30度以上90度未満 |
M | 中角配光形 | 15度以上30度未満 |
N | 狭角配光形 | 15度未満 |
⑥ 光源色
電球の光の色は青白い光やオレンジの光があります。
これを温度に例えて色温度といい、ケルビン(K)という単位で表されます。
ケルビンが低いとオレンジ色、ケルビンが高いと昼光色のように青白い光になります。
商品によって電球色など光源色で表示したものや、3,000Kと色温度で表示したものがあり、光源色と色温度の関係は以下のとおりです。
記号 | 光源色 | 色温度(K) |
---|---|---|
L | 電球色 | 3000 |
WW | 温白色 | 3500 |
W | 白色 | 4200 |
N | 昼白色 | 5000 |
D | 昼光色 | 6500 |
⑦ 演色性
演色性とは物の色の見え方に影響を及ぼす光源の性質のことをいい、一般的に平均演色評価数(Ra)で表されます。
太陽光と電球の光のもとではそれぞれ色の見え方が異なりますが、太陽光と同じ見え方のときをRa100とし、Ra80以上のものが高演色LEDと呼ばれます。
Raの数値が高いほど演色性が良いと言え、モノ本来の色で見ることができます。
高演色の光は野菜やお肉をよりおいしそうに見せることができるため、スーパーの売場のスポットライトに使われていたりします。
モノを直接照らしてこそ意味があるものなので、間接照明などには使いません。食卓を照らして料理をおいしく見せたり、通販への出品などで商品をきれいに撮りたい人には高演色のライトを使うのがおすすめです。
電球型蛍光灯やLED電球への取替について
最近はLED電球も100均に置いてあるほど安くなりました(400円くらいしますが・・)。
初期費用が少々高くても消費電力が圧倒的に少なく、長期的に見るとLEDに変える方がお得ですので、マイホームの人や借家でも長期間引っ越す予定のない人はLEDへの変更をオススメします。
しかし2~3年ごとに引っ越す人の場合、消耗品である電球は切れた人が交換し、そのまま残して次に引っ越すため、切れるタイミングによっては白熱電球や電球型蛍光灯を選んだ方がお得な場合もあります。
それぞれの特徴をよく理解して、用途に合わせて好みの電球を選んでみましょう。
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