冬将軍が到来するといよいよおでんがおいしい季節になりますね。
「おでんと言えば大根」という人が多いと思いますけど、家庭で作る場合もどうすればおいしく、手軽にしみしみの大根を作れるか考えるわけです。
ということで圧力鍋と土鍋、どちらの鍋がおいしいおでんが作れるのか検証してみました。
ちなみに今回使用した土鍋はbestpot(ベストポット)というもので、
・密閉性が高く無水調理ができる
・蓄熱性が高く10分程度加熱すれば後は余熱で調理ができる。
・ガス代も節約できて経済的
という土鍋です。
興味がある人はbestpotの特徴紹介もご覧ください。
おでんの下ごしらえ
今回のおでんは安上りに仕上げるために次の具材を主力として使います。
- 大根
- じゃがいも
- こんにゃく
- たまご
牛すじを入れる方も多いと思いますけど、今回は低コストに抑えるため買っていません。その代わり、少しでも出汁の足しになればと思い、余っていた豚の細切れを入れました。
この他に気持ちばかり丸天とかも買いましたけど、練り物系は煮込むと味が抜けてしまうため、基本的に食べる直前に入れて温まればOKです。なので包丁で切ったりする必要がなければ特に準備することはありません。
大根の下ごしらえ
大根は輪切りにすると外側に繊維質が多い層が見られます。
少し厚めに皮を向いて繊維質な層まで落としておくと切れの良い大根に仕上がります。
厚めに向いた皮が勿体なければ千切りにしてきんぴら等にして食べましょう。
大根の角を面取りしておくと崩れにくく見栄えがキレイになりますが、面倒なので私はやりません。お好みでされるとよいでしょう。
輪切りにした大根には隠し包丁を入れておくと味が染みやすくなります。
準備ができたら鍋に大根を入れて浸るくらいの水を入れ下茹でします。
下茹での目安は大根に竹串が刺さるまでです。
ジャガイモの下ごしらえ
おでんに芋類を入れる・入れないは家庭によって結構違うようですね。
私の実家ではジャガイモを入れてましたが、妻の実家ではサトイモを入れていました。
そんなジャガイモですが、皮を向いて小なら丸ごと。大・中なら半分程度とあまり小さく切り過ぎないようにカットします。
ジャガイモは塩を少々入れた水で下茹でし、灰汁を抜きます。
ジャガイモも竹串が刺さる程度まで煮ておきます。
タマゴの下ごしらえ
タマゴは単純にゆで卵を作っておきましょう。
ゆで卵の皮がむけやすくなる方法は色々ありますけど、個人的に続けているのはタマゴのお尻(尖っていない方)の平らな面に軽く打ち付ける方法ですね。
コンッコンッ「ピシッ」と高い音が鳴り目に見えない程度のヒビを入れておくと茹でてる間に皮と白身の間に水が回ってむきやすくなります。ただ打撃が強かったり割れ方が良くない場合、白身が吹いて尾を引きます。まぁ見た目は悪いですけど中身が完全に出るようなことはなく、ゆで卵にはなります。
こんにゃくの下ごしらえ
コンニャクは食べやすいサイズにカットして、表面に隠し包丁を入れておきます。
カットしたコンニャクは塩をまぶして軽く揉んで置いておき、鍋にお湯を沸かします。湯が沸いたら塩が付いたコンニャクを投入してそのまま1~2分煮てザルにあげます。
この工程を行うとコンニャクの臭みを取ることができますが、その臭みもまたコンニャクの味という人はやらなくても良いでしょう。
ザルにあげてコンニャクの水分を切っておくと味しみが良くなります。
おでんのだし汁
うちはおでんのときは昆布だし(顆粒)と鰹だし(めんつゆ)を1:1の合わせだしにします。
1L当たりの分量は
- 昆布だし(顆粒)500ml
- 鰹だし(めんつゆでOK)500ml
- しょうゆ(薄口):大さじ2~3杯
- みりん:醤油と同量
- 砂糖:大さじ1
- 塩:少量(食卓塩2~3振り程度)
だしを作ったら具材を入れて煮込みます。
おでんを煮込むときは蓋をしない方がよい?
おでんを煮るときは蓋をしてはいけないと聞いたことがあります。
なぜなのか調べてみると、おでんは沸騰させると出汁に濁りが出て味が落ちてしまうとのこと。
蓋をしたまま加熱すると熱がこもり沸騰しやすくなるので良くないようです。
なので蓋をせずに弱火で煮込み、出汁が減ったら継ぎ足すというのが美味しいおでんを作るコツらしいですね。
味しみについても大根など煮込む系の具材を温めてから一度冷ましてやると、温度が下がるときに味がしみておいしくなるとのことで、シミシミにしたいなら一度自然に冷やす工程が必要です。
美味しいおでんを食べたいのはやまやまですが、正直なところ「調理にそこまで時間かけてられないんだよ!」という忙しい家庭も多いのが現実だと思います。
そこで便利なのが圧力鍋。
美味しいおでんの作り方からは逸脱しますが、短時間で味を染みさせることができるので、うちでも圧力鍋を常用しています。
ただ今回はせっかくなので圧力鍋と土鍋でおでんを煮込んだ場合、味に違いは出るのか、どちらがおいしいのかを検証してみることにしました。
bestpot(土鍋)で作ったおでんと圧力鍋で作ったおでんの違い
ここからは土鍋と圧力鍋を使っておでんを煮込み、味の違いをレビューしていきます。
bestpot(土鍋)でおでんを煮込む
ベストポットではいつもどおり弱火で煮込み、少しグツグツしてきたような音がしたら火を止めて余熱で煮込みます。
加熱時間は10分もないくらいですね。
その後は余熱調理→自然に冷やすという作業になるので放置しておけばOKです。
蓋を付けて煮た場合は沸騰しやすくなりますが、その後の余熱調理で温度が冷めにくくなります。
沸騰させたくない場合は蓋を外すか蓋をずらした状態で様子を見ながら加熱して、沸騰しそうになったら火を止めて蓋をすれば上手に余熱調理できそうです。
圧力鍋でおでんを煮込む
圧力鍋は、私が持っているのは蓋のメモリで圧力が2段階の強さでかけれるというものなのですが、1段階目の圧がかかったら火を止めて、圧が自然に抜けるまで加圧調理します。
圧力鍋は沸騰させた蒸気を閉じ込めて鍋の中を加圧しますので、おいしいおでんの作り方からするとNGとなります。しかし鍋内の圧力が高まるので大根などの具材へ短時間で味がしみます。
圧力鍋も一度加圧してしまえば火を止めて加圧調理→自然に冷やすという作業順序が取れるので、調理場に立つ時間を短くできて便利ですね。
圧力鍋と土鍋で作ったおでん 見た目の違い
放置して完成したおでんは食べる直前に天ぷらやちくわなどの練り物を加えて温めてから食べます。
さぁ、舌の乏しいど素人によるおでん品評会の始まりです。
圧力鍋と土鍋で作ったおでんの違いを比較しますが、やはり定番の大根が一番分かりやすいのではないでしょうか。
両者を並べて見てみましょう。
圧力鍋で作った大根の方が色が濃く、圧倒的に出汁がしみていそうです。
箸で切って断面も確認してみます。
圧力鍋で煮た大根は、断面を見ても芯まで味がしみていそうです。大根を切るときもスっと抵抗なく箸がとおり、ホロホロの触感になっています。ただし、断面が少し崩れて見えるように、柔らかくなりすぎて大根としての食感は失われているようです。
土鍋で煮た大根も圧力鍋ほどではないものの、ちゃんと内側まで出汁色に染まっています。こちらの大根は箸をとおすとパカッと割れるように切れ、食感を残した仕上がりになっているようです。
圧力鍋と土鍋で作ったおでん 味の違い
まずは圧力鍋で煮た大根から食べてみます。
やはりシミシミ大根でおいしいですね。
大根がスポンジに思えるほど柔らかく、浸み込んだ出汁があふれ出てきます。
ここまで出汁を吸わせられるなんてさすが圧力鍋です。
続いてベストポット(土鍋)で煮た大根を食べます。
こちらは圧力鍋ほどではありませんが、ちゃんと良いくらい中まで出汁がしみています。
何というかしみ具合が丁度良いですね。
大根の甘さも残しつつ出汁が浸み込んでいて素材の味が生きてるように感じます。
圧力鍋のズブズブの大根もおいしいですけど、適度に食感の残った土鍋で煮た大根の方が上品なウマさですね。
これまで「おでんの大根はいかに味をしみこませるかが勝負」だと思い込んでいたので、どう考えても圧力鍋が最強だろうと考えていたのですが、こうやって食べ比べてみると土鍋の方がおいしいんですね。
他にもジャガイモなど煮込みが必要な具材は味や食感に違いがありました。
圧力鍋で煮たジャガイモは崩壊寸前でホロホロに仕上がっていてこれはこれでおいしいのですけど、土鍋で煮たものの方が芋とおでんの汁が上手くマッチした味に仕上がっていておいしいですね。
プロの料理人が言う『素材の味を活かす』ってこういうことなんでしょうね。
私は普段ラーメンの汁もおでんの汁も少し飲んだら残りは捨てちゃうんですけど、今回はジャガイモがウマすぎたので、崩したジャガイモとご飯をお出汁に混ぜてズルズルと頂くという何ともジャンクな食べ方にハマってしまいました。
冬場ならジャガイモと大根だけなら安く手に入りますし、この2品だけ大量に入れたおでんというのもありかなと思います。というか後日リピートして作りました。
まとめ 美味しくおでんを煮込む方法
おでんをおいしく煮込むためのコツは次の2つ
- 煮込みが必要な具材は沸騰させずに保温するように煮込む
- 煮込んだおでんは自然に一旦冷ますと味が良くしみ込む
しかし、長時間弱火で煮込むならずっと火を付けておく必要があり調理が大変。
そこで便利なのが土鍋と圧力鍋。土鍋は元々蓄熱性が高いのが特徴ですが、中でもbestpotは特に蓄熱性が優れているので調理に向いています。
※一般的な鍋用の土鍋は、蓋がピタッと閉まる構造ではありませんし蓋に蒸気が抜ける穴が開けてあり熱が逃げるのでbestpotほどの蓄熱性はありません。
土鍋(bestpot) | 圧力鍋 | |
---|---|---|
メリット | 加熱時間が少なくて済むので台所に立つ時間が減り、ガス代も節約できる
素材の食感を崩さずに調理できる 放置調理しても出汁が減り過ぎて焦げることはない |
一旦冷やす工程を取れない場合でも短時間で味しみを実現できる
加熱時間が少なくて済むため台所に立つ時間が減りガス代も節約できる 放置調理しても出汁が減り過ぎて焦げることはない |
デメリット | 長時間余熱調理するためには蓋が必要で、蓋つきで沸騰させないように加熱するのに注意が必要
鍋への匂い移りなどがあるため、鍋のままの保管に適さない |
圧力をかけるときに沸騰させてしまうため味が落ちてしまう
食材の食感が失われる |
土日におでんを作るなら朝食か昼食の時に土鍋に仕込んで数分加熱しておけば、夕方にはシミシミのおいしいおでんが仕上がっていることでしょう。
とはいえ、共働きの家庭で平日におでん食べようと思ったら家に帰ってから調理してそのまま夕飯になりますので、多少味や食感が落ちるとしても味がしっかりしみる圧力鍋おでんもやめられそうにありません。
今回はいつもの料理も調理道具を変えただけで味が変わるんだなという発見がありました。
もし調理にマンネリ化を感じている人がいればbestpotは中々面白い土鍋だと思いますよ。

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