みなさんは壁美人という製品をご存知ですか?
壁美人は部屋の壁をほとんど傷つけることなく棚や鏡、時にはテレビなどを壁に掛けることができるDIYグッズです。特徴は、壁に固定する方法がネジ・釘・接着剤ではなく、専用のフィルムと金具をホッチキスで壁留めすることです。
ホッチキスの穴は画鋲の穴よりもさらに小さいため、取り外した後もほとんど穴が目立ちません。
今回はこの壁美人を使ってダイソン掃除機を壁にかけれないかと試してみましたが、結果は失敗に終わりました。そんな失敗談を含めて、壁美人の使い方や注意点をご紹介します。
壁美人で吊ったダイソンが落ちた失敗談
ダイソンは充電器を壁にネジ止めで固定しておくと、ホルダー兼充電器として本体を充電しながら宙吊りにできてスマートに片づけておくことができます。
ただし、大きめの木ネジ2本で固定する仕様で壁に大きな穴が空いてしまうため、賃貸アパートではそのような使い方はできません。
そういう人のために専用スタンドが売っていたり、またはディアウォールを立ててネジ止めするという方法もあります。でももっと簡単にできないものかなと考えていた所、壁美人というアイテムを知ったのでこれでダイソンを壁に固定できないか試してみることにしました。
購入した壁美人の種類
壁美人は石膏ボード用固定金具となっており、ほとんどの家のホッチキスが刺さる壁なら使うことができます。
壁美人は壁に固定するフック付きの金具とそれに棚などをかけるための受け金具が販売されており、耐荷重や大きさによって数種類のラインナップがあります。
今回はダイソンを吊れればよかったため、耐荷重3kgの金具が2つ入ったセット[品番P-S-6sh]と、セットで使える受け金具(平製)[品番P-4Hh]を購入しました。(受け金具は買ったけど使いませんでした。)
P-S-6sh
- 固定金具2枚
- フィルム2枚
- 専用針(ステンレス製ホッチキス針)
P-4Hh
- 受け金具(平製)2枚
これらセットの中身は次のようになっています。
その他、壁美人の取り付けには、ホッチキスが必要です。
文房具コーナーに売っている一般的なもので構いませんが、重要なのは180度開いた状態で留めることができるものでなければなりません。
壁美人の使い方
壁美人で取り付ける位置を決め、薄く印を付けましょう。
金具を取り付ける位置を確認したら、金具の穴にフィルムをセットします。
専用針をホッチキスにセットし、壁・金具・フィルムという並びでフィルムを壁留めして金具を固定します。
このときホッチキスは壁に対して垂直ではなく少し斜めに打ち込む必要があり、押し込むときに滑って針が上手く刺さらない場合があります。滑りにくいポジションを確認して、両手でグッと一気に押し込むとうまくいきます。
1ヵ所でもホッチキス留めすればもう落ちることはありませんので、落ち着いて残りのフィルムもホッチキス留めしていきます。これであっという間に2つのフックを取り付けることができました。
この6ヶ所をホッチキス留めするタイプ[品番P-4]の金具は、耐荷重が1つあたり3kgあるので2つで計6kgまで掛けることができます。
ダイソンは延長ホースを付けた状態でも3kgもなかったと思いますし、重量的には十分耐えられる計算でしたが・・・。
壁美人で吊ったダイソンが落ちた原因
壁美人で吊った充電器にダイソンをセットしてみると、ちゃんと壁にぶら下がり思惑通りキレイに収納できました。
しかし、この状態で試しに充電器からダイソン本体を取り外して付けてと脱着を1、2回繰り返していたらダイソンを外すときに壁美人ごとスポッと抜けてしまいました。
壁美人はホッチキスの針で荷重を支える仕組みです。
ホッチキスの針1本1本は細く弱いですが、これを多数打ち込むことで力を分散して支えられるため、重いものでも吊ることができる仕掛けになっています。
ただし、これはあくまでホッチキスの針に対して垂直、つまり床方向に働く力(重力)に対して踏ん張る力です。
ダイソンを壁から取り外すときはホッチキスの針と平行方向(引き抜く方向)に力が加わるため、これにはホッチキスの針と壁との間の摩擦力で抵抗することになりますが、ホッチキスの芯は丸くてツルツルしているため摩擦力ががあまりありません。
ホッチキスの通常の使い方だと針の先が曲がり掛かりができるため抜けにくくなりますが、今回のようにホッチキスを開いて壁に挿した場合、針の先はまっすぐ挿し込まれているため引っ張れば何のかかりもなく簡単に抜けてしまうんですね。
土木・建築工事では、壁や天井にものを吊るすときはアンカーと呼ばれるフックをコンクリートに打ち込んだりしますが、スポッと抜けないように打ち込むと奥の爪が広がって抜けなくなるものや、穴を開けて接着剤と一緒に突っ込んで抜けなくなるような構造になっています。
ホッチキスで打ち込む壁美人ではこのような方法を取るのは難しいでしょう。
従って、壁美人の使用を検討されている方は引き抜く力がかからない場所・物を設置すると、安全に使用できると思います。
壁美人 外し方
会議資料など一度ホッチキス留めした書類に追加・差替えが生じて芯を取り外さないといけないときは結構大変ですよね。
壁美人は耐荷重が重くなるほどホッチキス留めの数が多くなります。
これを取り外すときはやっぱり手間がかかるのでしょうか?
答えはNOです。
前述のダイソンを吊ろうとしたら壁美人ごとすっぽ抜けてしまった例のように、壁美人は引き抜きに対する抵抗力がありません。
そのため、ホッチキスを打ちこんだフィルムをめくっていくとホッチキスがスポスポと抜けて簡単に取り外すことができます。壁から抜けたホッチキスの針はフィルムに刺さったまま抜けませんので、針が周辺に飛散する心配もありません。
フィルムの耐久力は2回まで芯を刺しなおしても良いと仕様に書いてあるので、あまり劣化していないフィルムなら芯を抜いて再利用することもできます。穴が沢山開いたり破れてしまったときはフィルムだけ単品販売もされています。
何回再利用するかは自己判断になりますが、穴だらけのフィルムを使って吊ったものを落として壊したり、人が怪我をする前にちゃんと交換するようにしましょう。
壁美人の簡単な使い方
私がダイソンの吊り下げに失敗した壁美人は耐荷重6kgまでということで、重たい棚を吊るには力不足です。
そこでとりあえず簡単な壁面収納として使うことにしました。
うちは木製の棚にパソコンを置いて使っていますが、いかんせん狭さが気になります。
棚の本来の使い方ではないし不便なのは当たり前なのですが、モニタの後ろにある電源タップ類を別にできればもう少しだけスペースを確保できそうだったので、これを壁面に収納してみることにしました。
先ほどと同じように金具を取り付ける位置を決めたら壁美人をホッチキス留めしていきます。
ここで一つ注意しておきたいのは、扉の縁など段差にピッタリくっつけて設置するのはやめた方がよいということです。
沿わせるだけで真っすぐの向きに取り付けられていいなという安易な考えで、扉の縁にくっつけた状態でホッチキス留めしていったのですが、扉のすぐ横はホッチキスが当たってしまって針を打ち込むことができませんでした。
フィルムごと剥がしてやり直すこともできましたがフィルムの耐久力が落ちそうですし、そもそも6kg近い重いものをかけるつもりはなかったので、今回は端の2カ所はホッチキス留めせずに取り付けました。
後はこれにワイヤ―フレームを引っ掛ければ完了です。
壁美人は取り付けも簡単で、壁にフックを取り付けられるためワイヤ―フレームとの相性が抜群です。収納が欲しい人はワイヤ―フレームを吊っておけば、たいていのものはこれに吊り下げることができるので、簡易な壁面収納が欲しい人にはおすすめです。
応用編|壁美人を100均などで代替
壁美人の優れているところは、2つあります。
- ホッチキスで簡単に取り付けられる
- 穴が小さくて跡が目立たない点
特別な工具・資材は使わず身近な文房具で取り付けできますし、跡が目立たないので賃貸アパート・マンション暮らしなら収納の可能性がグッと広がります。
でもコレ、要するにホッチキスで壁に固定するときの利点なので、あまり荷重が掛からないような場所ならやり方だけ参考にさせてもらって、別の道具で同じようなことしても良いと思うんですよね。
そこで、試しにトイレのウォシュレットのリモコンをなんちゃって壁美人で壁にくっつけてみることにしました。
なんちゃって壁美人の材料
準備するものは以下のものです。
- プラ板(厚さ0.2mm)
- マジックテープ(両面テープ付)
- ホッチキス針(ステンレス製、No-10)
- ホッチキス
ホッチキスは一般的な文房具コーナーに売っているもので構いませんが、壁に向かって使用するため180度開くものでなければなりません。
ホッチキスの針は錆びにくいステンレス製の針のものを使うと耐久性もあり錆で汚れる心配もないので安心です。ステンレス製の針はパッケージの色も若干違うので、店頭で探してもすぐに見つかると思います。
一般的なホッチキスの針はNo.10(幅8.4mm、針足長さ5mm)のものです。
その後ろについているNo.10-1M、No.10-2Mの違いは、一束の長さが50本連結のものが1M、倍の100本連結のものが2Mとなっており、通常使う場合はNo.10-1Mのステンレス製のものを買っておくと問題ありません。
プラ板と両面テープ付きのマジックテープは100均で調達できます。プラ板を買うときは、サイズは自由に選んで構いませんが、必ず厚さが0.2mmのものを買うようにしましょう。
なんちゃって壁美人でウォシュレットリモコンを取り付ける
引っ越したときに後で何とかしようと放置したままのウォシュレットリモコンですが、今回なんちゃって壁美人を使って下の写真の位置に取り付けてみたいと思います。
1 ウォシュレットリモコンの裏面にマジックテープを貼る
ウォシュレットリモコンの裏面に上下1枚ずつマジックテープを貼り付けます。
最終的にこのマジックテープで壁に付くことになりますが、テープの厚みで若干ふかふかするので、より安定させたい人は四辺にテープを貼りましょう。
また、本来壁にネジ止めするときに使うパーツは外しておいた方が良いです。下の写真のようにでこぼこした面にマジックテープを貼ると粘着が悪く落下する原因になります。本来のネジ止め固定するパーツを外しておけばリモコンの裏面は平らだと思うのでそちらに貼り付けておきましょう。
2 プラ板をカットしてマジックテープを貼る
プラ板をカットしてマジックテープを貼り付けます。
プラ板の消費量を少なくしたい場合、下の写真のようにマジックテープよりやや大きいサイズにプラ板をカットして、マジックテープの枚数分準備します。
この方法は後で位置合わせが必要になるため、リモコンサイズに大きく1枚カットして、プラ板1枚にマジックテープを2枚貼り付けた方が、リモコン側とマジックテープの位置を合わせやすくなりますし、ホッチキス留めの数も少なくなりそうです。
3 マジックテープ付きのプラ板を壁にホッチキス留めする
リモコンを取り付けたい位置に先ほど作ったマジックテープ付きのプラ板をホッチキス留めします。
マジックテープごとにプラ板をカットした場合は、ここでリモコンのテープの幅と合うように位置合わせを行ってから打ち付けます。
4 マジックテープでリモコンを取り付け
後はマジックテープを貼り合わせればウォシュレットリモコンの取り付けは完了です。
このやり方なら材料費も大してかかりませんし、壁にちょっとしたものを固定したいなら何でも貼り付けられるので、どんどん応用して使えそうです。
壁美人で空けた穴|使用跡は本当に目立たないのか
壁美人は針穴が小さいホッチキスを使うことで跡が目立たないという商品ですが、実際のところ本当に跡が目立たないのか気になりませんか?
一つの穴は小さいかもしれませんが、何個も密集してホッチキスするのでさすがに跡が目立って賃貸では無理なんじゃないかなと思ってしまいますよね。
実際穴を開けた場所がどのような見え方をするか紹介します。
画鋲の穴とホッチキスの穴の跡の比較
下の写真が画鋲の穴の跡とホッチキスの穴の跡を比べたものです。
結構離れた距離からも画鋲の穴は見えていますが、ホッチキスの穴はかなり近づかないと見えません。
あまり目立つような場所でなければ、ホッチキスを抜いた後そのままにしていても気にならないでしょう。
壁美人のホッチキス跡を消す
画鋲などに比べてホッチキスの跡はかなり目立ちにくいです。
しかし、賃貸アパートなどで使う場合は更に跡が目立たないようにしておいた方が良いでしょう。
そのために便利なのがダイソーなど100均にも売っている『壁の穴埋めパテ』です。
壁美人で空いたホッチキスの穴や画鋲の穴はこれで埋めてしまうとほとんどわからなくなります。
穴の開いた所に少量のパテを出し、ヘラ・指・ティッシュなどで穴を埋めるようにしごきます。穴が埋まったら余分なパテを拭き取って完成です。
大した手間もかかりませんし、壁の穴が全然目立たなくなるので賃貸で使っても問題なさそうです。というか私は問題ないとみて使ってます。
ちなみに賃貸アパートに限らず、多くの家でよく見かけるのは下の写真のような壁ではないでしょうか?
この壁でも壁美人を外した後、穴がどの程度見えるのか紹介しておきますが、はっきり言ってどこに穴があったのか注意して探さないとわからないレベルです。
遠景で探すのは至難の業ですし、挿した場所が何となくわかっている私でも近づいて探してやっと見つけることができました。
穴が空いていた場所をカメラでズームしてみると確かに穴が空いていることが分かります。
トイレの壁と同じように100均の穴埋めパテを塗って、ヘラなどでしごいてみましたが、作業しているときに穴がどこにあったのか見失う始末。何となく「この辺かな?」という位置に穴埋め材を塗りつけましたが、終わってからズームして取ってみると右側の方は穴埋めパテの塗り残しが何カ所かありました。
でも作業のときに目視できずに穴埋め漏れしたところなので、塗り直す必要もないでしょう。
壁に穴を開けてはならない・・・との縛りで悩んでいる方は、家の壁の目立たないところにホッチキスで穴を開けてみて、目立ちにくい模様であればじゃんじゃん壁美人を活用してしまって良いと思います。
まとめ
今回はしくじり先生ばりに失敗談ばかりの紹介になりましたが、失敗から学ぶことは多いですね。
賃貸に住んでる人は、『いかに壁に穴を開けたりせずに収納を増やせるか』と考えている人は多いでしょう。
そういう人にとって壁美人は、壁に後を残さず特別な工具も不要で簡単に取付できるとても便利なDIYグッズと言えそうです。
壁美人を利用する際には、以下のことを覚えておくと役立ちます。
- 180度開くホッチキスを準備する。
- 壁から引き抜く力がかかる使い方をしない。
- 取り外した後に、壁の穴埋めパテを使うと、穴の位置が分からないほど跡が消せる
壁美人は、賃貸物件に住んでる人の収納の悩みを解消するのにとても役立つアイテムです。
上手に利用して、より快適にすごせるように工夫してみましょう。
コメント
「なんちゃって壁美人」
具体的に教えて頂けて、とても助かりました
いろいろと応用できそうです。記事にして頂きありがとうございました。
えのくさま、コメントありがとうございます。
ちょっとしたモノを壁に掛けたり棚を付けたりしたくても、賃貸物件だと壁を傷つけられないから苦労するんですよね。
「なんちゃって壁美人」は費用も安いし手軽なので、ぜひ色々な使い方を試してみてください!