男の人からすると馴染みのないUVライト(紫外線ライト)ですが、女性はレジンのアクセサリー製作やネイルなどの硬化にUVライトを使うため割と知られているんじゃないでしょうか。
紫外線の波長で硬化する素材は直射日光に当てても硬化させられますが、太陽光頼みだと天候や時間帯に影響されるため屋内で安定的に作業するにはUVライトが欠かせません。
その他にも、UVライトを使うと通常では見えない汚れを光らせて確認することができるため、掃除に役立てることができます。
掃除するときに持っていたら面白いかなと思い、UVライトを買っていたので使い方や性能などをレビューしてみたいと思います。
UVライト(紫外線ライト)とは
人間が見ることができる光(波長400nm~800nm程度)を可視光といい、可視光よりも波長が短い光を紫外線といいます。
紫外線は太陽の光にも含まれるほか、人工的にLEDや蛍光管を使って作りだし、UVライト・ブラックライトとして様々なことに利用しています。
紫外線の波長
紫外線というと日焼けのことを想像する人も多いのではないでしょうか。
紫外線は波長が10nm~400nmの光で、380~200nmの光を近紫外線、200nm~10nmの光を遠紫外線と呼んでいます。
近紫外線をさらに細分化すると波長の長い方からUV-A、UV-B、UV-Cと3種類があり、波長が短くなるほどエネルギーが大きく人体にも影響を与えます。
- UV-A(紫外線A波)
- 波長400nm~320nm。
肌が赤く焼けたり、色が黒くなったりはしないが肌の奥まで到達してコラーゲンを変性させるためしわやたるみの原因となる(波長350nm以下)。オゾン層を通り抜けガラスなども貫通するため室内などでも日焼け対策が必要。 - UV-B(紫外線B波)
- 波長320nm~280nm。
肌表面の細胞を傷つけ、肌が赤くなる日焼けの原因となり、ひどいと皮膚がんやシミの原因となる。オゾン層で軽減されている - UV-C(紫外線C波)
- 波長280nm~200nm。
紫外線A波やB波に比べエネルギーが大きく殺菌作用がある。オゾン層でガードされるため地上に届かない。
太陽光にも紫外線は含まれていますが、地球の周りのオゾン層が有害な光をカット・軽減してくれています。
人工的な紫外線の場合、殺菌目的でUV-Cの光を出すこともあり取扱いに注意が必要ですが、一般向け用途の紫外線ライトでは、このうちUV-Aのみ発光させているため安全に使用することができます。
ちなみに紫外線ライトがLEDの場合はUV-LEDの波長付近の光しか発光されず、蛍光灯タイプだと幅広い波長の光を出すことができます。
UV-LEDが375nmだとその付近の波長の光しか出ない。
蛍光灯タイプの紫外線ライトは発光される波長の範囲が315nm~400nmと幅広く、そのうち360~370nm付近の波長が多く出る。
UVライトの用途
紫外線は業務用から個人用まで様々な用途に用いられています。
- 電撃殺虫器(コンビニ入り口などで虫が視認しやすい紫外線で虫を集め電気でバチッと始末するやつ)
- 殺菌
- 日焼けサロン
- 爬虫類などの飼育設備
- ネイル・アクセサリー用のUVレジンの硬化
- 細菌の視認
- 紙幣や骨董品の真贋鑑定
- ペットの尿や便所掃除の確認
これらは使う用途によって適した波長が異なるため、何用の紫外線ライトかで購入するものも変わると思います。
UVライトの選び方
UVライトは用途に合わせた波長のものを使用する必要があります。
あまりに波長が異なる紫外線を別の用途に使うと悪影響も考えられるため注意しましょう。
UV-Cの紫外線ライト 殺菌目的
UV-Cは生物に強力に作用するため、殺菌用の紫外線ライトはUV-Cと記載のあるものや波長257nm付近のものが多いようです。
UV-Cで菌を滅菌するには15Wの光を50cmの距離で1分当てたときに100%近くの殺菌効果があるようです。
良くも悪くも一時期かなり人気のあったレイコップも波長257nm程の紫外線ライトを搭載していましたが、UV-Cは貫通する力が弱く紙1枚で遮るだけでもほとんど効果がなくなってしまうため、布団の中まで殺菌することはできません。
当然人体や生物に光を当て続けると危険なので注意しましょう。
UV-Bの紫外線ライト ペット飼育用
紫外線の利点として浴びると皮膚でビタミンDを作る効果があります。
屋内で飼育される小鳥・爬虫類などのペットは日光浴させる機会が取れないとビタミンD欠乏に陥ります。
UV-B波はガラスがあるだけでも減衰してしまうため、窓際に置くだけでなく直射日光に当ててやる必要がありますが、人によっては難しいため紫外線ライトで補うことができます。
この場合は太陽光に近いUV-AとUV-Bの光が含まれる蛍光管タイプのものが多いようです。
光からの距離で紫外線を受けられる量が変わるため、ペットのゲージの大きさによって光の強さ(w:ワット)が大きい電球を選んだり、光のそばにより付けるような工夫が必要です。
UV-Aの紫外線ライト 汚れや蛍光塗料の発光やUVレジンなどの硬化
ペットの尿や人間が手で触れた脂やお札の偽造防止のための特殊なインクなどはUVライトの光を当たると蛍光に光ります。これを利用して紫外線ライトは掃除や真贋鑑定にも利用されています。
このように紫外線に反応するものを発光させる場合はUV-Aのライトが使われます。
UV-Aのライトは可視光である波長400nmから360nm程度のライトが販売されており、365nmなど波長が短いライトの方が高い値段となる傾向のようです。
波長が短くなるにつれ光が目で見えなくなりますが、紫外線に反応する物質はより分かりやすく発光するようで、お札の場合375nmほどの波長を当てれば特殊なインクが浮かび上がります。
※インクや物体によって最も反応する波長は異なりますが、395nm付近の光は目でも見える紫の光を当てているだけで紫外線による発光が見られないこともあるため、375nm程度の光が幅広く使えそうです。
UVレジンやジェルネイルに使う場合も素材によって良く硬化する波長が異なるようです。
商品によって波長の範囲は360nm~420nmくらいと幅広いようですが、大半は380nm~400nmの波長に対応しているようなので、このあたりの波長のライトがよいでしょう。
後は出力(w:ワット)が大きいものを使えば、距離が離れるごとに落ちるパワーを補うことができます。
UVライトの使い方や効果のレビュー
私の場合、テレビで掃除に使っているのを見てUVライトに興味を持って、レジン使って何か工作とかもできないかなと思ってLED懐中電灯型のUVライトを購入しました。
最近では100均にもジェルネイル関連の商品やレジンアクセサリーの製作グッズが販売されているので、これらにもちゃんと使えるのか試してみた様子をご紹介します。
私が買ったUVライト(紫外線ライト)
先に私が購入したUVライトの特徴について紹介しておきます。
- LEDが51灯
- 単三電池3本または18650電池が使える
- スイッチはON・OFFのみで光の絞り機能などはなし
- 紫外線の波長は395nm
本当は波長375nmのUV-LEDのライトが欲しかったのですが、購入した当時は波長375nmの懐中電灯タイプは高かったので、波長395nmのものにしました。
18650電池はリチウムイオン電池で普通のアルカリ乾電池の電圧が1.5Vに対し18650電池の電圧は3.7Vと高出力でパワーがあります。
乾電池とはサイズが異なり、専用の充電器を使って充電すれば繰り返し使うことができます。
UVライトでお札を照らしてみる
お札には偽造防止のために特殊なインクが塗られているようで、UVライトを当てると蛍光します。
手持ちの1,000円札に当ててみたところ薄っすらと普通とは違う光り方をしている部分が見えますが、印鑑マークの部分などは変化が分かりません。
波長375nmだともっとはっきりと蛍光するようなので、波長によって反応が結構違うのでしょう。
UVライトで100均のUVレジンを硬化させる
確かセリアだったと思いますが、100均で次のUVレジングッズを買ってUVライトで硬化するか試してみました。
- ソフトタイプのUVレジン液(無色)
- ハードタイプのUVレジン液(青色)
- シリコン製の型
商品説明を見るとLEDライトでは硬化しませんとありますが、これはおそらく私が持っているようなUV-LEDライトのことではなく普通のLEDライトのことだと思います。
また、紫外線に反応して硬化するため光が透過しにくい青色の方が固まりにくいようですね。
早速ソフトタイプの方からUVライトを当ててみます。
シリコン型の上にUVレジン液を少し出して約3分間UVライトを当ててみたところ、使用したUVレジンの量も少ないし完全に硬化していました。
次にハードタイプのUVレジンでも試してみましたが、こちらも量が少ないため3分間当ててみたところ完全に硬化していました。ソフトタイプは手で曲げられる硬さですがハードタイプは曲がらない硬さに仕上がります。
気泡跡はそのまま硬化して残るので、気泡抜きや成形をきれいにしておかないといけないようですね。
商品説明のUVライトの照射時間3分~というのは厚みのある製品を作るときでしょうから、これくらいの量ならもっと速く固まっているんでしょうね。ということで、実際どのくらいの時間で固まっているのか確かめてみると10秒も経たないうちに取り出せる硬さになるようです。
ジェルネイルをしたことある人は身をもって体験していると思いますが、UVレジンは紫外線に反応して急激に高温になり反応が終わるとスーッと温度が下がっていきます。この実験をやった時も10秒以内で照射をやめて触ると火傷しそうなくらい熱くなっていました。
まぁ本当に何か作るときは硬化不足で壊れたら困るので、ちゃんと既定の時間紫外線を当てるようにしましょう。
UVライトでトイレの汚れ(壁の尿飛び等)チェック
UVライトでトイレをチェックしてみたところ便器の裏側が汚れていて、研磨シートでゴシゴシ強めに擦っていったらきれいに取れました。
便器の内側にも光る部分はありましたが、こちらはトイレハイターに浸けたり研磨シート使って擦ったりしても取れませんでした。
そして一番驚いたのは壁の汚れですね。
尿の成分にも反応して光るようなんですが、便座付近の両側の壁が星のように輝いていました。
えぇそうです。犯人は男の立ちションでしょう。
賃貸アパートなので先代からの分もあるでしょうけどそれにしてもすごいです。
いつもトイレ掃除のときに壁もお掃除シートで拭いてはいるんですが、壁紙自体に凹凸があるので窪みのところの汚れは取れずに残っているようですね。
ちょっとやそっと擦っても汚れは落ちそうになかったので、本当は壁紙のために良くないんでしょうけどトイレハイターを少しかけてみることに。少し放置してキッチンペーパーでトイレハイターを拭き取って、最後に水拭きでよくハイターを落としておきます。
UVライトで確認してみると汚れの大半は落ちていて、UVライトを当てるとトイレハイターを塗ったとこだけ蛍光に光らなくなっているため、液が垂れた部分まで見事に分かります。
トイレハイターで壁の汚れまで落とせることは分かりましたが、ハイター漬けすると壁紙に浸み込んで完全に拭えなくて、残った成分が何かの拍子に混ぜるな危険の条件を満たしてしまいそうで恐いんですよね。
お腹が弱くてトイレによく立て籠もる私としてはトイレを危険な空間にしたくないし、所詮賃貸アパートでいずれ引っ越すでしょうから、これまでどおりトイレのお掃除シートで拭くくらいにとどめておきたいと思います。
まとめ
調べてみると紫外線って色々なものに使われているんですね。
一言に紫外線といっても波長が10nm~400nmまであり、身近なものは400nm~200nmまでの近紫外線と呼ばれるもので、さらに細分化するとUV-A、UV-B、UV-Cに分かれ、それぞれの用途は異なります。
紫外線の種類 | 波長 | 用途 |
---|---|---|
UV-A(紫外線A波) | 400nm~280nm | (375~395nmが便利) ジェルネイル・UVレジン硬化 (355~375nmが便利) 日焼け など |
UV-B(紫外線B波) | 320nm~280nm | ペット(鳥や爬虫類など)の日光浴 など |
UV-C(紫外線C波) | 280nm~200nm | 殺菌 など |
このことを知っておけばレイコップでジェルネイルやUVレジンを固めようとしてみたりとか間違いは減るんじゃないでしょうか。
紫外線ライトの種類はUV-蛍光灯とUV-LEDがありますが、幅広い用途で使うなら出力される波長範囲が広い蛍光灯タイプ、特定の波長のみ使う場合はUV-LEDがおすすめです。
出力(W:ワット)が大きいものを選ぶとより光が届きやすくなります。
LEDは日亜化学工業製のものが評判が高いですけどその分お値段も高いので、1,000~2,000円くらいの他社のものを選んでも良いんじゃないでしょうか。
波長395nm、単4電池3本のUVライト
波長365nm、18650電池のUVライト
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